モバイル バッテリ パックを自作しよう

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ぴろり
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2013/10/06 20:54
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 スマートホンやシリコン オーディオなどのモバイル ガジェットを充電できるバッテリ パックを自作してみよう! 最近はそういう需要が高まっているのか、手頃な値段でモバイル バッテリが販売されていて、わざわざ自作するよりも市販品を購入する方が充電容量、サイズや重量ともにお薦めなのですが...ほら...電池がヘタっても自分で交換できるし(震え声)

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開発方針

エネループ  市販のモバイル バッテリの多くは、高性能なリチウムイオン二次電池を内蔵することで大容量かつ軽量化を実現していると思うのですが、DIY でそんな立派な部品は使えません。替わりに、そこそこ高効率でエネルギー保持期間も長く、入手が容易なエネループを使用することにします。
 単 3 のエネループ 1 本の公称電圧は 1.2V、満充電状態では 1.4V 弱、電荷は最低で 1900 ミリアンペア時とあります。市販のモバイル バッテリでは、5000mAh を超えるものが多いのに対して、これではほんの少し充電しただけでセルが空っぽになってしまいます。大きな電荷を持つ大容量のバッテリを使えば解決しますが、そうすると入手性や価格に問題が出てくるので本末転倒です。やはり単 3 のエネループでなんとかしたいところ。そこで、何本ものエネループを直列に接続して電圧を上げることで、全体の蓄電容量を増やすことを考えます。

 左写真は 100 円ショップの Seria で販売されている自動車のシガーソケット用 USB 充電器です。パッケージの仕様では、12 V車専用で出力は 800mA とありますが、分解して調べてみると、使われている DC-DC コンバータ MC34063 の性能的に、まだかなり余裕があることが判ります。多分、24V車でも動作するんじゃないかしら? また、回路図(Fig.1 )を見ると、MC34063 のリファレンス回路とほとんどそのまま、チョッパ方式の非絶縁型降圧チョーク コンバータであることが判ります。また、電流制限抵抗が 0.15Ω であることから、設計上は 800mA ではなく 1A まで流せるようです。しかも、チップから USB コネクタから周辺部品まで必要な部品を一式含めて 105 円なので、チップ単体で購入するより格安です。


Fig.1 回路図

MC34063AP の覚書き

  • VccIpk の電位差が 0.3V を超えると、過電流防止回路が働く模様。なので、希望する出力電流から、電流制限抵抗値を変更できる。
  • CMP 端子が 1.25V になるようにスイッチング動作をする。出力電圧を適当に分圧して、目的の電圧を得ることができる。商品の実際の抵抗値を基に計算すると、出力電圧は 5.3V 程度になる。
  • D+D- に印加される電圧を変更すれば、Apple 製品に急速充電(2.1A)させることもできるが、チップの容量が上限 1.5A で無理げ。

仕様はこんな感じで~

  • 電源:単 3 エネループ(Ni-MH、公称電圧 1.2V、1900mAh)×12本
  • DC-DC変換:Seria で購入したシガーソケット USB 充電器(NSJ02)
  • ケース:コーナン商事 マルチセパレートケースS(LFX-90-016)

 今回は、選択したケースの大きさの制限から、エネループ 12 本としました。一応、MC34063 の許容電圧が 40V ですので、最大で 30 本くらいまで直列にできそうです。ただ、エネループ 1 本で約 26g の重量があるため、30 本だと電池だけで 800g 近くになってしまいます(;^ω^) エネループ 12 本の直列電源を効率 80% で DC5V に変換した場合;

 ちょっと少ない気もしますが仕方ありませんね。もし、エネループ 30 本で同条件あれば;

ギャラリ

 パキッとケースを真っ二つにして基板を取り出したところ。表面実装部品ではなく、全てリード パッケージ部品を使って実装されているので簡単に部品を移植できてGood(・∀・) ちなみに、部品は手作業で取り付けられているのか、個体ごと、部品ごとにリード線の長さがバラバラで超適当な Made in China クオリティ。

 オリジナル基板から全部の部品を取り外して、万能基板上に再構成。2 系統の出力が欲しかったところ、基板を二段重ねにしてケースに収めるために、高さのあるチョーク コイルと出力段の平滑コンデンサは倒してあります。

 ケースに収めてみたところ(実装途中のため配線はまだ) 左側の空間には、将来的に過放電防止や充電関係の機能を載せる予定。

 出力ポートと電源スイッチ(実装途中のため配線はまだ) 電源スイッチは赤色 LED 内蔵の波動スイッチを採用。電池の残量に応じて LED の点滅パターンを変化させる予定。

まとめ

  • 容易に入手できるエネループ二次電池を用いて、そこそこ高容量のバッテリ パックを作成した
  • エネループを直列に接続し、電源電圧を高めることで充電容量の増加を図った
  • 100均ショップで入手できる USB 充電器を改造・流用することで、部品の入手性を高め、かつ低コスト化を図った
  • 作成したバッテリ パックで、手持ちスマートホンを充電することに成功した

今後の野望

  • 電池の端子電圧を監視して、過放電防止機能を追加する
  • 充電用電源端子を追加して、ケースのままエネループに充電できるようにする
  • ソーラーパネルを追加して、日当に放置して充電できるようにする
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カバー画像:ぬるぬるローションの製作

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寄せられたコメント (全 1 件中、最新 5 件まで表示しています)

Posted by
古狸古狸
at
2015/10/13 10:07
ID
wq0H9wqU
初めまして
記事、楽しく読ませていただきました。
私の携帯(iphone 5s)はもはや1日持たなくなってきており、充電パックの携行が必須になってしまったこの頃です。
しかし、充電器は容量が増えるととたんに高額になるため、何とかならないかなぁと思って「自作」をキーワードに
検索したところ、あなた様の記事に出会った次第です。
私は電子回路はからっきしダメ(掲載されていた電子回路の図が理解できません。)なので、少しずつ勉強して将来的には自作できたらなぁと思っています。
一つ一つの素子について、これが何のためにあるのかとかそういうことがわかりやすく勉強出来る本とかあれば紹介していただければ幸いです。
以後、自作されたBOXのスペースに充電用とか、残量LEDを搭載されるということですが、また読めることを楽しみにしています。

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