別に努力しなくてもいいんじゃない?って話

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ぴろり
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2011/08/21 19:46
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努力って報われないよね
努力なんてするだけ無駄
努力して成功する奴は才能のある奴だけ
努力したとしても才能のある奴には勝てない
だから俺は努力するのをやめた

 2ちゃんねるまとめブログを巡回していて見つけた記事について思ったことを書いてみる。考えたことの記録として書いているだけなので、主張したいことは多分ありません。

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努力とセカイ系

 そういうスタンス(?)の人をここ 10 年くらいで個人的な感覚としてよく目にするようになった気がするのは何故だろうか、という点について。多分、その理由の一つとしてインターネットが普及したことが大きいのではないかと思うのです。結果、セカイ系な人が増えてしまった為と考えています。セカイ系というのは、私の理解だと「平凡な高校生が世界の命運を左右してしまうお話」のような「自分の次のスケールがいきなり世界サイズ」ということ。

 人は何らかの高みを目指すが故に努力するものだと思うのですが、インターネットを通じて、いきなり世界レベル No.1 の高みが見えるようになってしまったことが大きいかなぁと。セカイ系の一種と言うか。一念発起して登山家を志した人間がいきなりエベレストを見せられて凹んでしまうみたいなものですかね。昔であれば「クラスの○○君に勉強で負けないように頑張ろう!」とか、「甲子園に行くぞ!」「甲子園で優勝するぞ!」とか、「町内を救うヒーローになるぞ」とか、そういう自分の背丈に近い牧歌的(?)な目標があって、努力すればなんとかなるかも的な感じがあったと思うのです。自分を取り巻く世界の大きさがよく見えないが故に、先ずは目に見える範囲の目標を目指して、それを達成すると次々に大きな目標が現れて、自然にステップアップできる仕組みになっていたというか。近所の山から始めて、富士山、エベレストと目標が次々に「カスケード」状に見えていたのが昔。
 それが、今では、YouTube などの動画サイトに行けば、人間業とは思えないような神ワザ動画に簡単にアクセスできますよね。しかも、日本一のすぐ隣にアジア一、世界一の動画が「パラレル」に並んでいるわけです。誰だって「学校で No.1」よりも「日本で No.1」「アジアで No.1」「世界で No.1」の方が凄いと思うのは当然ですから、いきなり「世界でNo.1」を目指してしまって「あぁ、これは自分が努力しても無理だな」と思ってしまうのではないかと。町内を救うヒーローでは駄目で、誰もが世界を救うヒーローを目指すようになってしまっている感じ。

 二つ目に、先の話は努力する本人側の話ですが、周囲の環境にも変化があるのではないかと思います。例えば、なんとか努力して日本一になっても、周囲の人間や環境が当然のように世界一を基準にしてしまう脳ミソになっている。日本一であること自体が凄いハズなのに、周囲の人間がセカイ系になっていて「それでは世界で闘えない」とか当たり前のように言ってしまう気配を察してしまうのかも知れません。やっぱり、どれだけ大人になっても、モチベーションって大事だと思うんですよ。ましてや、これから始めようとする素人がそんな気配を感じとってしまったら「努力して日本一になったところでなぁ…」なんて思うのは当然かなぁ、と。ドラゴンボールのゴクウだって、最初はレッドリボン軍とかピッコロ大魔王と必死に戦ってたわけですよ。それをいきなりフリーザ様と戦闘力比較されたら、さすがのゴクウも腐ってしまうだけだと思うのです。

 三つ目に、どんなに凄くても簡単に批判にさらされるようになった、という点。まぁ、凄い人はやっぱり凄いんですが、それに対して素人が「大したことないよねー」とか平気で言える環境がインターネットのお陰で整ってしまった。場末の飲み屋のサラリーマンの愚痴を、簡単に世界に発信できるようになったということです。そして、またそれを誰もが見ることができるようになった。先の日本一の話であれば、匿名掲示板などで「世界一と比べたら大したことないよねー」とか言われているのを見て、やっぱり日本一レベルじゃダメなんだという雰囲気をさらに増長させてしまっているのかも。

 ちょっとこれは自信がないのですが、最後に、凄い人物が身近になったという点。個人的には、人の才能に依る部分は見える部分が多いけれど、努力に依る部分はなかなか見えないと思うのです。インターネットを通じて得られる情報の総量が増え、例えば個人ブログを始める有名人などが居たりすると、テレビや雑誌でしか見ることができなかった凄い人が、一気に身近な人になったと錯覚してしまう。そして、人目に付きやすいサーフェスの部分が増え、この人は才能があるんだなぁ、と感じるようにはなるけれど、それに対してその人物の努力の部分は相変わらず見えてこないのかな、と。そうすると、凄い人は努力したことよりも天性の才能などのお陰で凄いのであって、才能のない自分が努力しても仕方ないんじゃないかとか思ってしまうのでは。

努力しなけれ他の人に相対的に負けてしまう

 世界レベルを目指す努力は確かに無駄かもしれないけれど、人類全体に対する自分のレベルを維持、または向上するための努力は無駄ではないと思います。少なくとも何らかの努力をしなければ、自分のレベルは現状維持(±0)か下がる(-)ことは明らかです。自分が努力することを放棄し、その間に他の誰かが努力をしていたら、世界以前に、少なくともその人に「負けて」いるわけです。努力することを勝つための積極的な理由にするには難いかもしれませんが、誰かに負けないための理由にはなり得ると思うのです。

努力は必ず報われるのか?

 この問いに対する答えは「No」かなと思います。努力をすれば報われる確率*1は上がるだろうけれど、所詮確率の話であって、その確率を限りなく高めることはできても、絶対に報われるという保証はない、ということ。もし、目の前に 10% の確率で当選する宝くじと、11% の確率で当選する宝くじがあって、どちらか差し上げます、という話になった時、わざわざ 10% の宝くじを選ぶ人は居ないでしょう。それなら、まぁ当たるかわからんけど、少しでも確率が高い方の宝くじにしておくか、つまり努力しておくか、ということになると思うのですよ。

努力しなくても成功している人間が居る

 先の確率の話と同じで、何年も宝くじを買い続けているのに 1 等が当たらない人が大多数にも関わらず、必ずどこかに 1 等当選者が存在するのと同じことと思っています。スヌーピー曰く「人生とは、配られた手札で勝負するしかないのさ」とのことですが、努力しなくても成功できない時点で、自分はそもそもそういうカードを持っていなかったのです。仮に 1 等の当選確率は誰がどんなに努力をしても 0.01% だとしましょう。しかし、努力すれば 2 等の当選確率が上昇するとします。全ての努力を放棄すれば 0.01% に賭けるしかありませんが、努力を続けることで 0.01% に加えて 2 等の当選確率にも賭けることができるようになります。しかし、努力することで 2 等の当選確率が上昇しても、先にも述べたとおり必ず当たるという保証もありません。それでも努力することを放棄しますか?ということかと。

なので

 同じ 30% の確率の賭けがあって、加えて努力すればその確率が上がるかもしれませんよ、と言われた時、30% のままで賭ける人も居れば、努力して 30.5% に賭ける人も居るでしょう。反対に 30% は分が悪いと言って何もせずに勝負を降りる人も居るでしょう。また、30% に賭けて勝つ人も居れば、凄い努力をして 70% にまで確率を上げたのに負けてしまう人も居るでしょう。そういう点を考えると、他人が誰かに努力を強制するのも違う気がしますし、努力している他人をとやかく言うのも違う気がします。

そもそも

 「努力」と言うと「辛い、苦しい、面倒くさい、報われない」というイメージが強いですが、例えば、ゲーム好きなヲタな人であればゲーム中のレベル上げや謎解きを苦労と思われたことはないでしょう。私は数学や物理、化学など基本的に好きな科目で苦労したことはほとんどありません。数学の公式を覚える苦労とは「辛い、苦しい、面倒くさい」ことではなく、楽しくて、面白くて、もっと他のことを知りたくなる楽しい時間でした。このように「楽しくて、面白くて、やりがいのある」ことをしているだけで自分のレベルが上がらないだろうか? と考え方を変えてしまうのも一つの手だと思うわけです。

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  1. *1 実際の世の中をモデル化すれば、あらゆる事象は決定的ではあるけれどもカオス的になるでしょうね。それもパラメータがほぼ無限にあるような超複雑系。結局、それを解析的に解くことができない以上、その振る舞いを確率的に扱うしかないということです。

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