先の考察では、定常状態において、布団は薄い順番に重ねても、分厚い順番に重ねても、暖かさは一緒という結論が得られました。しかし、実際は、布団を重ねる順番によって暖かさの感じ方に差があるような気がします。そこで、今度は、温まり方に注目して考察を重ねてみます。
Fig.1 のモデルにおいて、 再び、ニュートンの冷却の法則に拠れば、二枚の布団の間の温度 T
は、人体から流入する熱量 QB→
と、室温へ放出される熱量 Q→R
を用いて、以下のように表すことができます。
これを T
について解くと
ここで、 は T
の初期値によって決定される積分定数です。これより、任意の時刻 t
において、人体から 1 枚目の布団を通って二枚の布団の間に流入する熱量 QB→
を求めることができます。
Eq.(1) の値が大きいということは、布団によって人体からより多くの熱量が奪われることをあらわしています。この値が大きいと寒いと感じるわけですね。Eq.(1) の第一項は k1
と k2
を入れ替えても値は変わりませんが、第二項に注目すると、 ですから、QB→
を小さくするためには、k1
を小さくすればよいことがわかります。また、この第二項は時間の経過に従って 0 に収束しますが、この項が布団の温まりやすさに関係していると考えることができます。
布団を重ねる時は、身体に近いほうから分厚い順に重ねた方が良いということがわかりました。