はじまり

　私が MovableType と出会ったのは、Open MagicVox.net の前身となる Piroli Random Lab. 時代、 過去ログを見るとかれこれ二年以上の付き合いであることに驚きました。 当時、ブログ黎明期の前夜とも言われる時候で、 昨今当たり前となったブログが急速に普及しつつある当にその時だったと思います。 ネットの様々なところで「ブログ」という単語を目にするようになり、 興味半分でインストールしたのが、そう MovableType だったのです。
　導入してすぐにサイトの更新作業手軽なことにも驚きましたが、 何よりもサイト構築の自由度が非常に高い点に惹かれたことを憶えています。 当時はテンプレートタグと格闘しながら、毎日のようにサイトデザインを弄り回していました。

　しかし何故、MovableType だったのか？　それは本当に単なるラッキーだったのです。

プラグイン作者への道

　MovableType を導入して10ヶ月後、 私の処女作となる MovableType プラグインが公開されます。 以前からやっていた C/C++ 言語などのプログラミング経験が活きて、それほど苦労せずに作りあげられました。 そして同時に MovableType プラグインの持つ大きな可能性に圧倒されることになりました。 プラグインを使えば何でもできる！　それは MovableType の標準システムさえ書き換えることができる強力なものです。
　サイト更新のし易さに惹かれ、テンプレートタグによるサイトデザインの柔軟性に惹かれ、 そしてプラグインによる強力な拡張性に惹かれるようになりました。

　既にブロゴスフィアではブログシステムをベースに、 人々が今までにないコミュニケーションの形態を作り上げていました。 コメント欄では熱い議論が交わされ、トラックバックを用いた思慮深い議論の応酬。 今までのただ"見るだけのインターネット"が、"参加するインターネット"へと変化していました。

『インターネットによるヒトのコミュニケーションの未来がそこにはある。 そのためにはブロゴスフィアのインフラとも言えるブログシステムを作り上げることが重要だ。 自分も一技術者として MovableType の発展を通じてそれに貢献できないだろうか？』

そして、MovableType が変えたもの

　MovableType に傾倒するようになって、自然と Web と接する時間が長くなりました。 丁度、無職だったため有り余る時間の多くを MoavableType プラグインの開発に割けたお陰で、 某所からプラグインの開発以来を受けたり、と新しい出会いもありました。 また、その時間の中で様々な Web サービスなどに触れるうちに、Web 業界というものに興味を持つようになりました。 自分と同じ年代の人間が、Web サービスを提供するベンチャーを起業していたり、 そしてそういった人間が Web を取り巻く技術の最前線で活躍している、というのはとても刺激的な世界でした。 次の就職を考えた時、「次は Web 業界で働きたい！」と考えるのも至って自然なことだったと言えます。

　そういう意味では、MovableType にハマったお陰で今の出会いや仕事先があるわけです。 当に MovableType が今の私の人生を決定付けたと言っても過言ではありません。
　念願叶ってか、今、私は都内の Web ベンチャーで働いています。 所属部署も CMS に関わる仕事です。 さすがに以前と同じように好き放題はできませんが、 目指すインターネットの地平はきっと同じであると信じて頑張っています。

　ブロゴスフィアの未来――コミュニケーションの未来は、必ず、そこに在る。