音響機器には EIA 規格の 19 インチラックタイプのものが多く、ライブ ステージやレコーディング スタジオなどにおいて、こんな感じでスタックされた機材を見ることができます。また音響機器以にでも、ラックタイプのサーバーなどにも利用されています。ところが、これらの機材自体はさることながら、これを格納するラック キャビネットが案外に値段が高くて困ってしまうのでした。
自宅にも幾つかこのラック マウント タイプの機材があるので、ホームセンターなどで購入できる部材を利用して、EIA 規格の 19 インチラックを格納できるキャビネットの自作に挑戦してみました。
19 インチラックの要とも言えるのが、ラックを固定するための
ラックアングルと呼ばれる部材です。
これはキャビネットの両側にあって、等間隔でネジが切ってあり、このネジを利用してラックを固定することができます。
で、このネジ穴の間隔が重要なわけで、間隔がバラバラだとラックをスタックしたときに隙間ができたり干渉したりします。
いかに精度良くこのネジを切れるかが問題な訳ですね。
しかーし、コンマ何ミリなんて精度で加工できる訳がないので、今回はスッパリ諦めてしまいます。
で、ラックの固定は木ネジで木製キャビネットに直接固定するようにしてしまいます。
これだと止めたい所にラックを固定することができますし、事前にネジ穴を切る必要もありません。
問題はラックの取付けと取外しを頻繁に行うと、木ネジの穴がグズグズになって使い物にならなくなってしまう点です。
そこで、この木ネジが当たる部分の部材は別部品として、簡単に交換できるような構造にしておきます。
ホームセンターで DIY 用の半加工品を使うと、簡単に綺麗に作ることができました。
写真はラックの柱にあたる木材で、既に棚板のためのミゾとネジ穴が加工してあります。
用途に合わせて数種類の長さが用意してあるので、自分の必要な長さに合わせて用意することができます。
今回、使用したのは長さ 58cm、6 段に加工済みの部材です(写真 1)
棚板 1 枚の幅は、ミゾの深さ 10mm と19 インチラックの横幅 482mm から計算し、
505mm に切断します。
また棚板の奥行きは用途に合わせて自由に選択してください。
今回は手持ちのフライトケースからフタを外したケース奥行きが 360mm だったため、これを参考に棚板の奥行きは 350mm とし、
長さ 1800mm、幅 350mm の部材から 3 枚を切り出しました(写真 2)
柱のうち、前に来る 2 本について、中心にφ4 程度の穴を貫通しておきます。
この穴はラックアングルにあたる木材を固定するためのビス穴になります。(写真 3)
ラックアングルの部材には、幅 30mm 程度、厚さ 20mm 程度の適当な木材を使用します。
この部材は使い込むうちにグズグズになってしまうので、安い木材で十分です。
重要なのは部材の厚みで、薄すぎるとラックを固定するときにネジをねじ込むと割れてしまいますし、
逆に厚すぎるとラック本体が引っかかってしまいます。
この設計では厚さ 20mm の部材を使用すれば、木ネジのための余分も十分ありますし、ラック本体にも干渉しません。
先ほど開けた穴から少し長めのビスを通して、部材と柱を固定してしまいます。(写真 4)
組立てます。
特に難しいことはありませんが、部材がねじれたりしないように均等にネジ留めしていきます。
ネジ留め個所が多いので電動ドライバなどあるとサクサク作業が進められます。
今回は移動用に底板にキャスターを取り付け、柱に防腐塗料(チーク)を塗ってみました(写真 5,6)
今回は上段 3 桁(285mm)、下段 2 桁(185mm)で組み立ててみました。
1U あたりの高さが約 45mm ですので、上段に 6U、下段に 4U を格納することができます。
市販のアルミ製キャビネットと比較すると、木製のためにキャビネット自体の重量がありますが、
据え置いて使うことを考えると特に支障ないと思います。(写真 7)
- 材料
- パイン集成材 18mm×350mm×1800mm 1枚 3,080円
- パイン集成柱 幅60mm× 1,120円(@280円×4)
- ゴム足キャスター 420G-R 高さ25mm 340円(@85×4)
- ラック用ビス(8本入り) 324円(@108×3)
- タッピングビス M3.8×32 (10本入り) 63円
- タッピングビス M4×16 (17本入り) 63円
- 総計
- 4,990円+α
- 製作時間
- 設計1時間、材料取り30分、キャスター取付け15分、塗装1日、組立て30分
- 製作上のヒント
- キャスターはできるだけ大きく、耐荷重のあるものを使用すること。
1U が地味に重く、10U もスタックすると相当な重量になります。
またラック自体も軽くはないので、余裕を持った耐荷重で設計しておきます。
- 側面に薄板を貼り付ければ、更にキャビネットぽくなります。
- 棚板の奥行きは余裕をもって取ること。
ラックから電源や信号ケーブルが延びると、背面から飛び出します。
ラック奥行き +15cm くらいの余裕があるとケーブルが綺麗にまとめられます。
寄せられたコメント (全 1 件中、最新 5 件まで表示しています)
19"ということで48cm幅できったのがどつぼでした。
ラックマウント用の耳まで入れて48cmなのね…。
結局実際のラックの幅を計って45cmで切り直しました。
10Uサイズくらいの高さで上にミキサーを載せて使えます。
なかなかいい感じです。
参考になる記事をどうもありがとうございますです。