Release Candidate が公開された MovableType Motion だが、残念ながら私にはイマイチその魅力が感じられない。MovableType にマイクロ ブロギングとソーシャルの機能を持たせようということであって、他の既存サービスの良い所や面白いところを積極的に取り入れた意欲的な製品ではあるが、正直、今のブログ界隈では登場が遅すぎたという感が否めないのではないか。
個人ブロガー的な予想では、MovableType Motion が個人ブロガーの間で人気を得ることは厳しいと言わざるを得ないだろう。もし、成功を収めるとしたら、ある程度の大きなコミュニティが既に存在している場合、例えば大手ニュースや大手ブロガーに限られるのではないだろうか? それは以下のような理由に因る。
一番大きな理由がこれだ。例えば XOOPS などの一部のシステムでは、編集やコメントを残すためにユーザ登録が必要になることがあるが、その段階で私ならウィンドゥを閉じるだろう。たかがブログの一つコメントを残すためだけに、ユーザ登録を求められたなら、あなたは個人情報を登録してまでコメントを残すだろうか? 今日、OpenID などの仕組みを利用して、コメント前に認証できるようなブログが多くなったが、そこそこ有名な OpenID でさえ、大々的に使われてコメント欄が活況を催しているブログを私は知らない。
特定の個人の運営するブログに開設されたコミュニティでは規模が小さすぎて、わざわざそのコミュニティのメンバーになるメリットがほとんど無いだろう。日本で一番大きなソーシャルである mixi には多種多様なコミュニティが存在するが、登録ユーザが 1000 人を超えるコミュニティでさえも、掲示板(トピック)は閑古鳥が鳴いていることが多々ある。例えば MovableType に関する話題を扱う MovableType コミュニティの登録ユーザ数は 8000 人を越えるが、そのうち掲示板などで積極的に質問に返信しているアクティブなユーザを数えると 50 人も居ないのではないか。
今日では様々なサービスが無料でユーザ登録でき、そのサービス内で大きなコミュニティが形成されている。Twitter などが良い例だろう。個人ブロガーの設置した Motion に登録して誰かを Follow するよりも、本家の Twitter に登録する方が Follow したい人物は多いだろうし、Follow されることも多い。先に述べたように、個人ブログの Motion に登録しても、アクティブなユーザ自体が少ないので、そのタイムラインは非常につまらないものになるだろう。
今日では無料でブログが作れるサービスが数多く在る。一生懸命にコンテンツを作ってそれを他人のブログに提供するくらいなら、自分自身のブログを開設して自分のコンテンツとして公開し、ブログ間の交流を促進する方が、パーソナリティの面ではメリットがある。他人の Motion に一行呟くよりも、自分の Twitter アカウントに呟く方が良い。
有名人が開設した Motion なら、そのファンや支持者がこぞって登録し、新しいコミュニティとして機能する可能性はある。しかし、ただの一介のブロガーが開設したコミュニティで一体何を話題にコミュニケーションすればよいのだろうか? そういう場は既に mixi 日記が十分な機能を提供していて、個人ブログをハブにする理由がない。